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「今年は当たり年だから絶対行くべき!」

 

初めての海外一人旅で出会った方にものすごい勢いで言われたのが

オーロラ、アラスカとの出会いです。

 

海外へ一人旅に出る友人に憧れていました。

英語が全くできない私には当時海外一人旅はとても高い壁でした。

しかし、ある時の石垣空港での出来事です。

海外の旅行者が、日本語で話す案内所の方相手に英語で話し続けています。

こっちは英語あっちは日本語。

それでも旅行者は納得できたのか、フリーペーパーを受け取り立ち去ります。

その姿を見て、ああ、それでいいのか、と思いました。

 

すぐに計画を立て始めますが、だからといって全て一人旅にするのは少々憚られたので

一日だけ現地ツアーを入れ、タイのチェンマイへ旅立ちました。

一日だけ入れた現地ツアーはイーペンランナーという外国人向けのロイクラトンのイベントでした。

始まる前に参加者はグループになり食事をとります。

その時会話は自然と「どこに行ったか」という旅の話になりました。

それぞれ行った国自慢がはじまります。

しかしもう内容は覚えていません。

たった一人の女性の話がパンチを食らうほど私を引きつけたからです。

それが上記の言葉です。

 

「行くべきよ!」

 

彼女は写真を見せながら猛プッシュしてきました。

もちろんその場の全員にですが。

 

「オーロラか」

 

私は帰国後すぐにオーロラについて調べはじめます。

本を数冊買いどんな現象かどうしたら見られるのか色々調べました。

しかし、何か掴めない。

一体どうなるのか、専門家の話でさえ知りたいところがスポッと抜けている感じでした。

目が辛くなるほど深夜まで連日調べ続け、訳もわからないまま旅を手配し、

タイ帰国から3ヶ月後にはアラスカに降り立っていました。

 

とはいえ、希望した宿泊施設の空きがなかった為、日数は3泊ともいえない早朝着深夜発という強行軍。

けれど私はたった二晩弱のチャンスに、満月が煌々と輝く晩に、連日オーロラ爆発に出会うのです。

何を読んでも調べてもよくわからなかった現象が突如音もなく現れ、東西南北、頭上、

上空のあらゆる場所で乱舞します。

おおよそ人間がどうすることもできない現象が予想もつかない動きで展開されます。

その、言葉にし難い圧倒的な動きに涙し、すごい!すごい!を連発し、ありがとう!ありがとう!と

言い続けます。

 

 

 

2013年3月から年2回を含め、毎年アラスカに旅立ち2019年で渡航は9回になりました。

撮影地は主にフェアバンクス近郊と北極圏です。

相変わらず英語はできませんが、今では車で周るようになりました。

どこへでも一人で行きます。

広大な大地にたった一人。

そこには風の音と私の服の擦れる音、鼻をすする音しかありません。

この時が怖くもありますが、大自然と私、それは最高に幸せな時間です。

 

 

 

*2023年6月 ひがしかわモンベル店での個展に寄せて

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